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Born Conduction Life in 軽井沢

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2010年03月17日

石けんを仕込める 幸せ

冬の間に、「紫外線から肌を守る石けんを作ろう!」と材料を揃えておいたのだが、なかなか手をつける気持ちになれずにいた。

10.03.17.やっとできた!石けん作り.jpg

私が作るコールドプロセス法の石けんは、キッチンでケーキを作るような感覚で仕込みを終える。数種類の新鮮な油と、けん化を促すための苛性ソーダの温度を38~40℃の間でそろえ、ピタリと合ったところで掻き混ぜる。それから、型に入れられる硬さになるまで面倒をみていけばよいという、慣れてしまえばなんら難しいことのない作業である。ただ一点気をつけることは、”苛性ソーダ”という、はっか飴を砕いたようなパラパラの薬品をミリ単位まで正確に計量し、そこに精製水を注いで融かす瞬間だ。苛性ソーダは、別名 水酸化ナトリウム。理科の実験でもお馴染みの、強いアルカリ性の薬品である。空気中の水分で融けだし、皮膚についたら”やけど”を起こす危険もある。また、水と反応するとあっという間に60℃を超え、この時に発生するガスが目や喉には刺激が強く怖い面も。ゴーグルと厚手のマスク、ニトリルゴムの手袋が必須である。

石けん作りは料理に比べるととても簡単だが、このような薬品を扱う瞬間があるので、健全な肉体の時でないとやる気にはなれない。私は今から一ヶ月前、ひょんなことから喉を痛めてしまった。軽井沢の真冬の乾燥した空気は、それ以外の季節が”常に高湿度状態”なものだから、嬉しくてたまらなかった。乾いた空気だからこそパウダー・スノーになるのだし、真冬でも洗濯物が乾かなくて困ることはないと。いいことずくめだと思ってきたのだ。それが、喉にとっては無防備極まりないとは知らずに...。

痛めたきっかけは、まず極寒の日のスキーだった。標高2000メートルのスキー場の気温は、マイナス20℃近かった。そこに風も加わって体感温度は??。動いていないととても耐えられる状態でないので、ノン・ストップで数時間滑り続ける。この間、水も飴も口にしていない。元気なものだ。冷えた身体を温めようと口にしたのは、辛~い食事。この日の晩、喉にはなんの不快感もなかったが、週末に行ったスキー場の環境がとどめをさした。午前中は猛吹雪、湿り気のある雪で顔がべちゃべちゃと濡れていく。視界も乏しくとても滑れる状況ではないのに、未曾有の大雪に皆ハイテンションのまま。ランチになだれこんだレストランの中は人で溢れかえり、酸素も少ない気がした。ここでも、唐辛子の効いたパスタを食べる。天気は回復しはじめ、さっきまでべちゃべちゃしていた雪が、サラッサラに変わっていくのが見てとれた。極度の乾燥で喉は無防備になり、そこへ人混みの中で息づくウイルス、さらに喉を刺激する辛いものの接種。いつもなら温泉に浸かって汗も汚れも落としてさっぱりと帰るのだが、この日に限って旦那さんの調子が悪く、休憩もせずに帰ってしまった。抵抗力も落ちていたのだろう、その日の夜から喉に違和感を覚え、翌日には痛みと熱でフラフラの状態になっていた。

喉が痛い...よくあることだ。だから、ただの”のど風邪”と思って家に常備している薬を飲みはじめた。効いている様子はないが、熱が出るのは身体がウイルスと戦っているからだろう。しかし、体調はどんどん悪化。唾も飲み込めないほど喉は痛くなり、乾燥に敏感になって、こんどは咳が止まらない。声も出ないし、食欲もない。肋骨が折れるのではないか?というほどひどく咳こむようになり、不眠不休の5日間を過ごした。「これは、ただの風邪なんかじゃない!」そう思って、向かった先は行きつけの病院の耳鼻咽喉科。幼少から喉が弱く、扁桃腺を摘出している私にとって耳鼻科は親近感のある場所である。症状を見るなり、医師は鼻から喉へカメラを入れた。「うーん、それほど腫れてはいないね。」これで軽傷のうちなのか?と落胆し、可能ならこのまま胃の中まで見ていって欲しいと思ったが、それは専門の違いというもの。しっかりと耳鼻咽喉に効く薬を処方してくれた。

風邪でもなんでもそうだけど、体内に入った”菌”は薬で追い出すことができる。しかし、”ウイルス”を殺す薬はなく、自己免疫力で戦うしかないのだ。私は抗生物質を5日間飲み続け、日を追うごとに確実に眠れるようになっていった。しかし、赤く腫れた喉の痛みや不快感は拭い去れない。不安になって再度病院へ行くと、「これ以上、薬は出せない。抵抗力が落ちてしまうし、あとは免疫力でよくなっていくと思うよ。」と諭されてしまった。病名は、のど風邪。詳しく言うと、咽頭炎である。

一度この病になると、乾燥した空気にとても敏感になるらしい。店で突然咳が出て変だなーと思ったら、頭上にエアコンの噴き出し口があったし、冷たい飲み物もダメである。喉が乾燥するという理由でいうと、冷たい空気も...。いやはや、軽井沢の冬は色々な意味で過酷だったと気づかされる。これまで何でもなかったことが不思議だ。

あれから一ヶ月以上が経過し見た目は健康体になったが、まだ不快感はある。お酒や辛いものを取る気にはなれないのだ。だから今日、石けんを仕込めたことは私の喉にとって大きな前進だった!人は起きている時は口をしっかり閉じて、鼻呼吸をしているけれど、睡眠時は口をポカンと開けて”口呼吸”をしていることが多いという。この口呼吸が喉にはいけないらしい。横向きで眠る方は特に注意。空気が乾燥している今、私は口だけにマスクをかけて眠っている。妙なスタイルで恥ずかしいのだが誰も見ていないし...その甲斐あってか、快方に向かっているようだ。

写真は、オリーヴオイルを72%以上入れたマルセイユ石けんの種に、保湿効果のある”黒みつ”を加えているところ。苛性ソーダ以外は、道具も含めてすべてキッチンにあるものばかり。3ヶ月の熟成(といっても、風通しのよい場所に置くだけ)を経て、石けんは最もいい状態を迎えることとなる。石けんサイズにカットしたら一ヶ月後には使えると言われているし、実際に使えるが簡単に水に溶けていく状態。それが、3ヶ月くらい気長に待ってみると、泡立ちや持ちが劇的に良くなることがわかってきた。まるでチーズを育てるように...発酵食品の好きな方はぜひ一度お試しください。

posted:2010年03月17日 15:43