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2009年06月19日
更紗灯台と蓮華ツツジ
標高1600m付近の高原では、白い木の花が姿を消して、代わりにオレンジ色の花がそこかしこに見られるようになった。オレンジ色とは、サラサドウダンツツジとレンゲツツジである。サラサドウダン...なんて響きのいい名前なのだろう。名の由来は、室町時代末期にインドやジャワから伝わった、”更紗染め”からきているらしい。つり鐘状の小さな花には繊細な赤い模様が入っており、それが更紗染めに似ているというわけだ。目を凝らして眺める。うーん、素敵!

それではレンゲツツジの名の由来は?というと...こちらは花でなく蕾が”蓮華”に見えることからだそう。山スキーでよく訪れる湯の丸高原 地蔵峠周辺もレンゲツツジの群生地であり、その数は60万株というから驚きだ。既に天然記念物にも指定されている。山の斜面が爽やかなオレンジ色に染まった風景は美しいというより、私にとってはオレンジ色の淡水パール(天然色)のように愛らしいもので、何度見ても心が癒される。

高原と言えば牧場。そこで放牧される牛や馬がレンゲツツジを食べ残すことから、ウマツツジ、ベコツツジという別名まであるという。食べ残す理由は、レンゲツツジに含まれる痙攣毒。それによって、この木の群生地となった牧場も多いと聞く。猛毒を持っているのだから、さぞ強靭な山の木だろうと思ってしまうが、絶滅が危惧されるほど自然の中ではとても弱い存在。過去に、レンゲツツジの群生地を守ろうとフェンスなどで囲ってしまった場所も多いようだが、そんな場所ほどこの木は姿を消しているそうだ。野生動物が共存する山であれば、そこに自然と生える様々な草木は動物にとって豊かな餌場となり続ける。檻の中で、動物との接点も断たれ、無菌室の中で生きることを余議なくされたドウダンツツジにとって、そこにはびこる笹は自然の脅威でしかなかったのだ。弱いからこそ、毒を味方につける。自然界には、毒を持った植物がなんと多いこと。そして、同時に薬となる植物も無数に存在していることに気づく。今年も、庭の片隅でゲンノショウコが立派なグランドカヴァーとなりつつある。
posted:2009年06月19日 15:31



