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2009年04月19日
コブシの香りを嗅ぐ
満開のコブシの”白”に見惚れているうちに、早咲きの桜も咲きだしていた。雑木林の下草は、日を追うごとに若草色を濃くしている。こうなれば、落葉松もいよいよ目覚めの時。5月まであと10日間という、この時期の軽井沢はまさに芽吹きのラッシュ。「この黒い地面が、草に覆われる日など来るのだろうか...」と錯覚していた長い冬は遂に終わった。窓から微かに見える浅間山に根雪は無いに等しく、ここ数日はコブシの花を通して、その山を眺めていることが嬉しい。
今日はいつもの散歩コースを延長させて、少し遠くまで歩こうと思う。お目当てはコブシである。私の手の届く位置で花を咲かせる大木があるのだ。眺めるばかりだったこの花の香りを、今日はじめて嗅いでみる。すると...甘くてスッと心地よい、それでいて上品な、そのまま香水になってもいいような素晴らしい香りがした。

コブシはモクレン科だから、「もしかすると、甘い香りがするのかもしれない」と思ったこともある。だが、漢字の”辛夷”という字から連想するには、ずいぶんかけ離れているような気がしていた。スエードのように贅沢な蕾がしっかり閉じ込めて守り抜いていたのは、花の中のこの香りだったのかもしれないと、香りを知ってしまった今は思える。やはりコブシは、北国の春を告げるに相応しい存在。 日当たりの良い場所では、早くも散り始めている。

一年の半分以上が冬に支配される土地の花は、みな急ぎ足だ。梅も桜も、ごく僅かな時間差で咲きはじめ、花と同時に葉を広げていくものも多い。それもこれも短い夏を生きる為と知れば、ますます植物から目が離せなくなってしまう。デッキの下では、ツクシやヨモギがぐんぐん成長しはじめた。草に逢うと書いて、蓬(よもぎ)。草を摘むことが楽しい、嬉しい季節の到来だ。若葉に包まれていく日々が、私達にもたらす力が計り知れないことを知らされる季節でもある。
posted:2009年04月19日 15:22



