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2008年06月29日
亜熱帯への旅

”梅雨明け直後はおおむね天候が安定している”そんな風に、いつかどこかで聞いた気がして、急遽 南の島を旅してみようと思い立った。羽田から、那覇・石垣と飛行機を乗り継いで、最後は船で。乗り物に乗っている時間だけで軽井沢から5時間以上。

しかし、出発したその日の昼過ぎには遥か彼方の島に着いてしまうのだから、心も体も戸惑いを隠せない。ここは、サンゴ礁の隆起によって生まれた島 竹富島だ。島の中央に身を寄せる平坦な集落は、家々よりほんの少しだけ高い塔から、箱庭のように見渡すことができる。

日の傾きはじめた夕刻に宿を出て集落を歩いてみると、道には白砂が敷き詰められていた。歩き専用と思いきや、地元のワゴン車がザザザーと砂音を立てて走ってくる。サンゴを積み上げて作った石垣にはブーゲンビリアやハイビスカスといった色鮮やかな花が乗り出すように咲き、石垣の先には赤煉瓦と漆喰屋根の琉球らしい家並みが見え隠れしている。石垣のある暮らしに親近感を覚えるのは、自然なことと思える。
時の流れが違うことを肌で感じながら、歩きでなければ気付かないものを見つけようとしていたのかもしれない。ある家の軒を支える柱に目が止まる。柱の土台が変わっていてユニークなのだ。↓ これは間違いなくサンゴ!これなら腐りやすい柱と土台の間に水が溜まることもないのだろう。建築様式とは、その土地に根付いた生活様式でもある。理にかなったものに美が宿ると本当に素敵。


歩いて一周することも可能な小さな島である。歩きだして間もなく 丘のような 通称ンブフル(牛岡)が現れた。ここだけは、隆起サンゴ礁ではなく古成層の珪岩で出来ているという。島の核ともいえる場所で、なんとなく神聖な空気が漂っている。その近くにあったのが ↑ の”東パイサーシ御嶽(アイ パイザーシ オン)”島内に御嶽と呼ばれる場所は28ほどあるそうだが、ここには、島を作り、島を育てる神がまつられているという。階段が、柱の土台に使われていたのと同じサンゴで作られていることに気づいた。集落を抜けると、いたるところにクワズイモの大きな葉や亜熱帯のツヤツヤした植物が群生していて圧倒される。
家の中が、見えるか見えないか微妙な高さの石垣は強烈な日差しを遮るためではないらしい。美しすぎる白砂の通りは、日中の間は容赦なく照り返す光と熱の小路。フクギという大きな木が生み出す日蔭を見つけると途端に早足になっている。防潮林として、またミンサー織りの染料にもなるフクギの巨木は、35℃という暑さに慣れていない私にとってまさに砂漠の中のオアシス。フクギ...漢字ではどんな字を使うのだろう?この島の人々にとっては、私が感じたこと以上の存在に違いない。

一年じゅう花が絶えない島ということは、沢山の蝶が生息できることを意味している。アイヤル浜で偶然目にしたのはスジグロカバマダラの群生。みんなで集まって何をしているの?この日は、5~6月に竹富島にやってくる鮮やかな赤い夏鳥 琉球アカショウビンも偶然目にすることができて幸運。

竹富島の、今は使われていない静かな桟橋から夕日を眺めて一泊した後は那覇へ戻り、翌日は車を借りて初めて本部半島まで足を伸ばしてみた。天気予報を見ても、沖縄は意外と広い島であることに気づく。北部・中部・南部とずいぶん天気が違うのだ。美ら海水族館で見せてくれたのは、日本列島を取り巻く豊かな黒潮の海の様子。百聞は一見にしかず...今回の旅でもそんな風に感じる瞬間が多かった。 この目で見ること、はじめての土地の空気を肌で感じること、文化を知ること...。自分なりに「わかった!」ことが喜びであり、明日への原動力に繋がるのかもしれない。

posted:2008年06月29日 18:31



