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Born Conduction Life in 軽井沢

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2008年03月19日

スケート→鬼押出しへ

今日から、中軽井沢駅前から始まる国道146の看板が、”ようこそ鬼押出しへ”に変わっていることと思う。北軽井沢への入口としてご存じの方も多い、ゲートのような看板だ。私も、軽井沢へ通い始めた頃はよくこの文字に目がとまっていたし、”鬼押出し”と名付けられた浅間山の火山跡地にも少しだけ興味があった。観光気分で何度か出かけ、月面のような溶岩ばかりの僅かな隙間に可憐な高山植物を見つけた時は、植物はなんて逞しいのだろうと思ったものだ。それから月日は流れ、2004年に浅間山が噴火してからは近づくこともできずに、すっかり足は遠のいてしまった。実は、このブログを書きはじめたのは2004年の9月。まさかの噴火を体験したことが、軽井沢での暮らしを記録していこうと決めたきっかけだった。

人は、同じものが置かれた空間で永く過ごしていると、そこにあるものは既に見なくなっているのだという。新調したばかりの物や洋服には目がいくが、それ以外の変化していないものに刺激はなく注意は注がれない。今の私にとって、この看板もそんな代り映えのしない物体になりつつあった。カーリングの影にすっかり隠れてしまった”スケート”の文字に気をとめることはもはや無く(本当はやってみたいのだが、始める機会もちょうどいい場所も見つからないでいる)、鬼押出しへも数回そこへ行ったというだけで、私の中では完結した感があった。

それが、ある本をきっかけに変わろうとしている。ピーター・メンツェル&フェイス・ダルージオによる、あまりに有名な”地球の食卓”に続いて出版された”地球家族”は、
「申し訳ありませんが、家の中の物を全部、家の前に出して写真を撮らせてください」という、これまた大胆な企画だった。そこで紹介された30か国の中で私が一番興味を抱いたのがアイスランドだったのだ。たまたま紹介されたその一家が魅力的だったこともある。だが、北緯64度という極北の国がおかれた自然環境に近いものを感じたに違いなかった。特に、鬼押出しのような稀有な景観が身近な軽井沢とは兄弟のようだと。島国、火山、温泉、地震、高所、寒さ、魚をよく食べることなど、今の自分が送っている暮らしとは確かに親近感がある。そうしてアイスランドのことを少しでも知りたいと思い立ち、たまたま見つけたのが”地震と火山の島国”という、地球科学者が書き綴った本だった。なぜ、地震の研究者がわざわざ頻繁にアイスランドまで通っているのか?と思った。しかし、地震とはこの星の営みであるプレートの動きを調査することに他ならない。プレートは、大西洋の海底にある巨大な山脈(海嶺)で生まれ、地球上をゆっくりと旅して深海の奥底(海溝)でその姿を消す。海嶺の頂上付近がたまたま顔を出したのがアイスランドで、潜り込む場所が日本列島の下なのだという。海溝と聞けば、千島海溝、日本海溝、伊豆マリアナ海溝、駿河トラフといった名がポンポンと浮かんでくる。大好きだった理科の授業を急に思い出した。

この国の景色が浅間山と違うところは、車で何時間走っても鬼押し出しのような景色が続いていること

こんな風に、地球科学者の口から”鬼押し出し”という場所が頻繁に出てくるのであれば、近いうちにまた行くしかないだろう。そして、いつの日か、地球の歴史の上では生まれたばかりの極北の島へも足を運ぶ気がしている。ロンドンから3時間、近いうちに行くのだろうな...。

posted:2008年03月19日 17:33

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