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2005年07月06日
短い夏こそジュエリー
明け方、障子が白んできたころに雨音が聞こえて少しずつ目が覚めていく。そんな朝が続く。日中の気温が20度前後というのはとても快適だ。もう7月に入ったので今年の夏は残すところ2ヶ月くらい。こちらに来てからは”服一枚の薄着で過ごせる日”というのがとても貴重で嬉しくて、以前よりアクセサリーに気を遣うようになった。
ナタリー・オック・ショーエというフランス人女性をご存知だろうか。”ポアレ”の”マ・プルミエ”(450種以上のストラップが付け替えできるとびきりオシャレな時計)と言えばぴんとくるかもしれない。ナタリーさんは、1998年、一流ジュエリーで有名なパリ・ヴァンドーム広場にポアレをOPENさせた人。私がナタリーさんを知ったのは同年の8月、お台場にOPENしたばかりのホテル グランパシフィックメリディアンで開催された「PENELOPE展 フランスを巡る」でのこと。当時の私は、この壮大な展覧会の会場構成を依頼された事務所のアートディレクターだった。フランス気鋭のクリエイターが創造する50あまりのブースを実際に演出していったのである。クリエイターの作り出す世界は創造的でどれも目を見張るものばかりだが、私は同時に彼らの素顔に興味を持ち始めた。その1人がナタリーさんだった。
ナタリーさんの描き出したブースは、「サントロペで二人きりのディナー」というもの。海の眺望が広がる彼女のファミリーハウスでのディナーの1シーンを再現したもので、テーブルクロスにはプルメリアの花の刺繍があしらわれ、オレンジを基調にした空間はロマンティックでありながら気品に満ちていた。テーブルの足元に小さなショクダイ(ろうそくを光源とした照明)を幾つも灯したい!!という彼女のリクエストだったが、光源が本物の”火”であることは日本の展覧会では消防法上認められない。日本だって、ついこのあいだまではろうそくの灯りだったのになぁと思ったものだ。仕方なく電球に変更せざるをえなかった。また、ブースに展示するジュエリーも本物でなくては!と彼女は言い、こんどは防犯上みんなの説得によってしぶしぶイミテーションに変更された。フランス人は頑固だろうか。日本人だって本物に拘る人は充分頑固だ。それでいいと思う。実は彼女、ここに再現したサントロペのファミリーハウスでポアレの有名なシンボルというリングをデザインしている。宝石商の娘として恵まれた環境に生まれた彼女だが、パリではカルティエ・ジョワイヨリーの社長、NYではカルティエ・インターナショナルの社長を歴任したジェットセッター。多忙を極めているはずなのだが家庭生活をとても大事にし、その中で作品のインスピレーションを得ているという。そう知った時から、彼女は私にとって憧れの女性になった。そんな彼女の創り出す、まだ日本では無名なポアレというジュエリーを密かに期待するようになった。時は熟し、気がつけば、ポアレは現在日本で10店舗あまりを展開するほどに成長。知る人ぞ知るブランドになったのである。気になって調べてみると、なんと昨年2004年にナタリーさんは自身のブランド ポアレをスイスの投資家からなるパフィシオに売却していた。しかし、ジュエリー、時計、その全てはナタリーさんのデザインそのままである。
ポアレのリングにフィジーというものがある。南の島に思いを馳せたという素敵なパールのリングだ。身の丈に合った装いが身上だが、いつかこのリングが似合うような女性になりたいと思う。そして、またいつかナタリーさんにお会いできたらと思うのだった。
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posted:2005年07月06日 13:05
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